より良い梅づくりのために ~梅農家の研究グループとの取り組み~

チョーヤと梅農家との絆
チョーヤは半世紀にわたって
より良い梅づくりのために
梅農家の方々と共に歩んできました
毎年の作柄に関わらず、安定した梅を
農家の方々から供給いただけるのも
その歩みの中で培われた
絆があってこそです
梅の研究活動
チョーヤと和歌山県の梅農家の方々は
1997年から2008年にかけて
5つの梅研究グループを立ち上げ
有機栽培や減農薬栽培などの研究をおこない
梅の持つさまざまな可能性を探求し続けています
お客様に「梅のちから」をお届けするために
チョーヤはこれからも梅農家の方々と
共に歩み続けます

5つの梅研究グループ

JAS
有機梅栽培グループ
田辺印の会

「田辺印の会」は和歌山有機認証協会に登録された会員14名の有機栽培グループです。
2008年、「JA紀南有機食材生産研究会」として発足し、2014年に「田辺印の会」に改名。
16haの有機認定面積は、和歌山県内でも最大規模になります。「安全・安心な梅をお客様に
届けること」を理念とし、チョーヤとともに有機梅の栽培・研究に取り組んでいます。
年間120~130トンの良質な有機栽培梅を生産し、主にチョーヤに出荷しています。   

  • 独自の有機肥料を配合した土

    いかに健康な土をつくるか

    有機栽培において最も重要なことは、健康な土づくりをいかに実現するかです。そのため、田辺印の会ではグループ全員が協力し、米ぬか、魚粉、蟹殻などを配合した独自の有機肥料を毎年新しい試みを加えながら作っています。

  • 力強く伸びた枝に咲く花

    木の力を引き出すのが“有機”

    適地適作とは、その地域の気候や土壌などの自然環境に合わせた農業で、その土地に最も適した作物を育てること。
    有機栽培の基本的な考え方は、木に適した環境を整え、木が持っている本来の力を最大限に引き出すことです。

  • 梅の枝葉につくアブラムシ

    虫との戦い、草との戦い

    有機栽培は化学農薬を使わないため、虫や病気との戦いが避けられません。発足当初はアブラムシの被害で黒い梅ができたこともありました。収穫時に蜂に刺されることも多く、園地を覆う草を取り除くのも一苦労です。有機栽培は一筋縄ではいきません。

  • 有機栽培で美しく実った梅

    苦労が実る瞬間

    一番の喜びは、美しい梅が実ることです。有機栽培は手間暇がかかる分、美しく成長した梅が実った時の喜びもひとしおです。
    さまざまな苦難を乗り越え、6月の収穫時に良い梅に出会えた瞬間が、一年の苦労が実った時です。

  • 田辺印の会メンバーとチョーヤ社員(2021年)

    “楽しくやろう” の精神

    グループの精神は「楽しくやろう」です。
    楽しくなければ辛いことも乗り越えられないと考え、
    発足以来「メンバーの和」を大切に活動を続けています。
    和歌山有機認証協会の試験には全員合格しています。

代表者メッセージ

田辺印の会 会長
 前田謙さん

発足当初から、チョーヤさんと共に活動を続けてきました。
今後も有機栽培の梅に対する取り組みに一層力を注ぎ、支えていきたいと考えています。そのためには、次の世代にもこの価値を伝え、引き継いでいくための道筋を築きたいと思っています。

ドキュメンタリー映像
「とどけ、梅のちから。
-有機栽培グループ田辺印の会とともに-」

JAS
かつらぎ町
有機栽培実践グループ

1999年、チョーヤとの協議を経て、日本で初めて化学肥料や化学農薬を一切使用せずに梅の有機栽培を実践する会として結成されました。そして2001年には和歌山有機認証協会(WOCA)から有機農産物の認定を受けました。結成当初の困難な時期を乗り越え、25年以上にわたり有機栽培の研究と実践を積極的に続けています。現在では、30名のメンバーが年間約80トンの有機梅を栽培し、主にチョーヤに出荷しています。      

  • 有機栽培で美しく実った南高梅

    黒い梅から、青い梅へ

    現在では青く美しい梅を育てられるようになりましたが、
    化学農薬を使わないことから、最初はアブラムシが大量発生し、 真っ黒な実ばかり出来たこともありました。防除手段として 水やでんぷんを使うなど、試行錯誤を繰り返してきました。

  • 園地で談笑するメンバーとチョーヤ社員(2010年)

    当初は厄介者扱い

    発足当初はまだ有機栽培に対する理解も乏しく“厄介者”と言われ、周囲の風当たりは強いものでした。17年後の2006年、
    「有機栽培推進法」の制定により、ようやく理解を得られるようになり、メンバーの結束もより強固なものとなりました。

  • チョーヤ本社での情報交換会(2023年)

    勉強会を積極的に実施

    毎月の定例会では情報交換を行ったり、理化学研究所や大学から講師を招いて、「土壌の物理性」「菌類の多様性」「養分吸収のメカニズム」といった研究発表を聞くなどして、更なる有機栽培の可能性を積極的に追及しています。

  • 木村顧問と息子の隆志さん(2010年)

    マニュアルはつくらない

    グループ内で共有する情報は、例えば現状のリスクと対処方法など。ただし、指標は共有しますが、マニュアル化はせず、
    判断は個人に委ねます。こうすることで、自分たちで考え、
    判断できるようにし、各メンバーの成長を促します。

  • グループメンバーとチョーヤ役員(2023年)

    胸を張って次の世代へ

    有機栽培の梅を安心して食べていただきい。必要とする人がいるなら届けたい。消費者の方、取引先の方を裏切らないものを作り続けたい。信念と希望をもって、次の世代にも胸を張って引き継いで行ける持続可能な農業を目指しています。

代表者メッセージ

かつらぎ町有機栽培実践グループ 代表
 杉本稔さん

将来を見据えて、若い会員や次の世代が自信を持って有機栽培を続けていけるような基盤を築いてきたいと思っています。新しい農業機械や技術の導入も視野に入れて、気持ちよくに引き渡せる環境を、出来る限り整えていければと思っています。

完熟南高梅
生産グループ

チョーヤとの共同研究は「梅酒と、梅の実の熟度」をテーマに、発足前から始まりました。梅酒用の「青梅」と梅干し用の「完熟梅」の間の熟度から検討を重ね、2003年に発足してからは、「完熟梅」相当の熟度で独自の品質基準をクリアした「完熟南高梅」をチョーヤに出荷しています。最初は和歌山県田辺市三栖地区だけでの取り組みでしたが、現在は14地区に拡大。栽培面積は約50haで、出荷者数は325名にのぼります。

  • ネット上に落下した梅を収穫

    落下した梅をネットで収穫

    梅は完熟すると自然に木から落ちます。落下の衝撃で傷がつかないように事前に青いネットを敷き、落下した完熟梅を収穫します。5月中旬に園地にネットを引き、本格的に落ち出すのを待って6月中旬以降に毎朝園地を回って収穫します。

  • 黄色く熟した完熟南高梅

    独自の品質基準をクリア

    完熟南高梅生産グループが収穫した完熟梅は、チョーヤと共に設定した独自の品質基準を満たしているか、毎年各地区の代表が集まり検証し、決定します。収穫後に検品し、品質をクリアした完熟梅のみがチョーヤに供給されます。

  • 氷点下で熟成させた完熟南高梅

    市場に出回らない貴重な梅

    「紀州産完熟南高梅」は皮が薄く、実が柔らかく、桃のような甘い香りが特徴です。管理が難しい為、通常は市場には出回りません。チョーヤでは、梅酒に使用する他にも、氷点下で熟成させた果実から抽出した果汁を発酵させ、梅ワインを醸造しています。

  • 次々と選果場に集められる完熟南高梅

    出荷は時間との勝負

    完熟梅は皮が柔らかく傷みやすいので、出荷作業は時間との勝負です。早朝に収穫された梅は、家庭選別後、選果場に集められ、新鮮な状態で出荷されます。迅速に出荷するためにグループ内で協力し合い、鮮度管理に努めています。

  • 三栖地区の完熟南高梅生産者(2024年)

    チョーヤとの連携

    元々農家の方々は、完熟した梅は自家製の漬け梅として加工していました。その後、地区組織を結成し、グループの活動を通して完熟梅の価値を向上させ、チョーヤとの協力関係により、作況に左右されず安定した量の完熟梅を供給できるようになりました。

代表者メッセージ

完熟南高梅生産グループ 生産者代表
 小芝鉄也さん

関係を築き、出荷を始めて20年以上、チョーヤさんと共に改良を重ねてきた活動によって、より良い完熟南高梅を提供できるようになりました。
ここ数年は気候変動の影響で生産が難しくなっていますが、今後も良質な完熟梅を作り続けるために努力していきたいと思います。

梅特別栽培研究会
梅特別栽培研究会

チョーヤの呼びかけによって、1997年「梅減農薬栽培研究会」を設立、2002年に県の認証機関から特別栽培の認証を受け、2009年からは「梅特別栽培研究会」と改名しました。農薬の使用を減らした安心・安全な梅生産と環境に優しい農業という2本柱のもと、36名の会員が約17haもの園地にて特別栽培(和歌山県が定める条件に沿った減農薬栽培)に取り組み、約250tの梅を生産し、主にチョーヤに出荷しています。     

  • 収穫された減農薬の南高梅

    県が定める減農薬の条件

    現在和歌山県が定める「特別栽培農産物」の基準は厳格であり、
    農薬は県の指針に基づき50%以下、肥料は完全に有機質、除草剤は一切使用しないことが定められています。梅特別栽培研究会は毎年おこなわれる認証機関の審査をクリアしています。

  • 豪雨時の園地とスス班病にかかった梅の実

    異常気象がもたらす苦悩

    限られた条件下で計画的に農薬を使用していても、収穫前に異常気象による突発的な病害虫の発生が起こることがあります。制約のため追加の薬剤を使用できないので、丹精込めて育ててきた梅に適切に対処できず、何度もやりきれない思いをしました。

  • 手摘みで丁寧に収穫

    収穫の喜び

    「収穫する時の喜びっていうのは、やっぱり作り手としたら1番ですね。 特別栽培は特に手がかかるので、そのぶん良い梅ができたときは嬉しいですね。」と会長の岡本さん。6月には大切に育てた梅を一つ一つ丁寧に手摘みで収穫します。

  • チョーヤ本社での勉強会(2024年)

    情勢変化に対応する勉強会

    研究会では、「情勢は常に変化しているため、これまでと同じことを繰り返していては発展がない」という考え方に基づき、消費者のニーズや動向に常にアンテナを張り、対応するために、定期的にチョーヤと勉強会を開催しています。

  • 梅特別栽培研究会のメンバー(2024年)

    安全な梅生産と環境付加軽減へ

    研究会では、農薬のドリフト(飛散)防止対策、コスカシバ対策フェロモン資材使用、健康診断チェックといった独自のGAP(適正農業規範:実施すべき手法や手順などをまとめた規範、その規範が守られているか審査・認証する仕組み)を定めています。

代表者メッセージ

梅特別栽培研究会 会長
 岡本智郁さん

私たちの研究会は、幅広い年齢層に加え様々な経験を積んできた生産者が会員となっています。過去に開催していた情報交換は会の発展には必要不可欠である為、開催したい意向を強く持っています。これからはさらに連携を強化して取り組んで行きたいと思います。

梅減農薬栽培研究会

第1回紀州梅有機栽培研究会会議(当時のJAみなべ・JA紀南・JAいなみ)にて、梅栽培の安定生産・適期防除・高品質生産を研究するために、チョーヤと共にスタートしました。梅減農薬栽培のルールとして、基本的に農薬の回数は通常の2分の1以下に制限され、肥料は有機100%、除草剤は使用しないことが定められています。安心安全な梅を作る、生産者の健康を守るという理念のもと活動を続け、年間約40トンを生産し、主にチョーヤに出荷しています。

  • 減農薬で美しく実った南高梅

    減農薬で綺麗な梅を

    当初は農薬を減らしたことで「黒星病」や「かいよう病」に悩まされましたが、長年の努力の結果、減農薬でも通常栽培と遜色ない綺麗な梅を作ることができるようになりました。生産量もある程度安定してきています。

  • 2024年は雹が降りカメムシが大量発生

    気候変動と害虫の脅威

    発足当初に悩まされた「黒星病」はある程度抑えられるようになりましたが、突発的な豪雨による「スス斑病」や、最近ではカメムシの大量発生、外来種のクビアカツヤカミキリの脅威に対応する必要に迫られています。

  • 自然に枯れた草が覆う園地

    草刈りと草生栽培

    減農薬栽培では除草剤が使えないため、草刈りは重労働です。そこで、草生栽培として「ナギナタガヤ」という草を用いる事があります。初夏に自然に倒れる約70cmの枯れ草が地表を覆い、新しい雑草が生えるのを防ぐ効果があります。

  • 目揃い会の模様(2024年)

    課題をグループで共有

    現在、6つのエリアごとに班を編成し、班長がグループ間で園地の視察を行います。そして、意見交換を通じて現状の問題を共有し、原因を探ります。また、収穫前の目揃い会では梅の品質を確認し、基準を定め、グループ内で共有します。

  • 研究会の代表メンバー(2024年)

    次なる飛躍に向けて

    収穫後の秋には毎年、チョーヤを交えて総括会議を行い、一年間の取り組みを振り返ります。グループ内の各メンバーが自分の経験や成果を共有し、成功した点や改善が必要な点を確認し、次なる飛躍に向けて今後の方針や目標を明確にします。

代表者メッセージ

梅減農薬栽培研究会 会長
 尾曽紀文さん

チョーヤさんの呼びかけで始まったこの会ですが、当初は少ない農薬で本当にやっていけるのか心配でした。しかし、減農薬でも立派な梅ができる事が徐々に分かってきて、今では安定した生産が可能になりました。気候の問題はありますが、今後も高品質な梅を作れるよう努めていきます。

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